大腸
大腸

大腸は、食べ物から吸収されなかった水分や老廃物を便として体外に排出する重要な消化器官です。便の形成や排出だけでなく、腸内環境や免疫にも関わるため、大腸の健康は全身の健康にも影響します。しかし、さまざまな原因で大腸にトラブルが起こることがあります。
大腸の粘膜にできる隆起で、ほとんどは良性ですが、一部は大腸がんに進行する可能性があります。
大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍で、初期には自覚症状が少ないことがあります。進行すると、血便、便通の変化、腹痛、体重減少などが現れることがあります。
免疫の異常により大腸に慢性的な炎症が起こる病気で、下痢、血便、粘液便、腹痛、発熱、体重減少などの症状が出ます。
腸に器質的異常はないものの、腸の働きの乱れやストレスにより便通異常や腹痛が生じる病気です。症状としては、便通異常(下痢や便秘)、腹痛、血便、腹部の張りなどが見られます。日常生活でも起こり得ますが、症状が長引く、または強い場合は受診が重要です。
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる小さなこぶや隆起のことを指します。多くは良性で、症状がほとんどないため、健康診断や大腸カメラ検査で偶然見つかることが多いです。主な種類には以下があります。
炎症や腸の刺激によりできることが多く、がん化のリスクは低めです。
将来的に大腸がんに進行する可能性があるため、大きさや形によっては切除が推奨されます。
炎症性腸疾患に伴ってできることがあり、炎症の改善とともに変化することがあります。
診断は、大腸カメラ(内視鏡検査)でポリープ形態や大きさを確認し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。治療は、ポリープの種類や大きさによって異なります。小さく良性のものは経過観察で十分なことが多く、腺腫性や大きなポリープは内視鏡的切除が行われます。
大腸がんは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。初期にはほとんど症状がなく、健康診断や大腸カメラ(内視鏡検査)で偶然発見されることが多い病気です。進行すると、血便、便通の変化(下痢や便秘)、腹痛、腹部の張り、体重減少、貧血などの症状が現れることがあります。
大腸がんのリスクには、加齢、家族歴、腺腫性ポリープの既往、生活習慣(高脂肪・低食物繊維の食事、喫煙、飲酒など)が関係しています。診断は、大腸カメラで病変を直接観察し、必要に応じて組織検査(生検)で確定します。がんの広がりやリンパ節転移を確認するために、CTや超音波内視鏡が用いられることもあります。治療は、がんの進行度に応じて行われます。
内視鏡的切除で治療可能なことがあります。
手術、化学療法、放射線療法を組み合わせて治療します。
大腸がんは、早期発見によって治療の成功率が高まるため、便潜血検査や大腸カメラによる定期検診が重要です。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる病気です。原因は完全には解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的要因、環境要因などが関係していると考えられています。
主な症状は、血便、下痢、腹痛、発熱、体重減少などです。症状は軽い場合もあれば、急に悪化する「急性増悪」と呼ばれる状態になることもあります。
診断は、大腸カメラ(内視鏡検査)で粘膜の炎症や潰瘍の状態を確認し、必要に応じて生検(組織検査)を行います。血液検査や便検査も診断の参考になります。治療は、症状の程度や炎症の範囲に応じて行われます。
炎症を抑える薬(5-ASA製剤)、免疫抑制薬、ステロイドなど。
食事の工夫、ストレスの軽減。
手術が必要になることもありましたが、最近は新薬開発で治療薬(免疫調整薬、生物学的製剤)が増えて手術にいたる症例は減ってきています。
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛、腹部不快感とそれに関連した便通異常(下痢、便秘、等)が持続する一方で、その症状が通常検査で検出される器質的疾患によるものではないという疾患です。若年者に多く、排便で腹部症状が変化し、ストレスや食生活の影響を受けやすいのが特徴です。
診断は、内視鏡や血液検査で器質的な疾患がないことを確認したうえで、症状や経過から判断されます。治療は、症状の緩和と生活の質向上を目的として行われます。
食物繊維の調整、刺激物の制限、規則正しい食生活。
便通異常や腹痛に応じた薬の使用。
心理的サポートやリラクゼーション法の活用。
過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、症状が長引く場合や日常生活に支障がある場合は受診して、適切な対策をとることが大切です。
便潜血検査は、便に血液が混じっていないかを調べる検査です。便潜血が陽性(出血の可能性あり)と出た場合、必ずしも大腸がんやポリープがあるとは限りませんが、大腸の異常が隠れている可能性があることを示しています。便潜血陽性の主な原因には以下があります。
便潜血が陽性の場合は、通常大腸カメラ(内視鏡検査)で大腸の状態を詳しく確認します。必要に応じて上部消化管の検査や画像検査を行うこともあります。便潜血検査は、症状がなくても定期的に行うことで大腸がんの早期発見・治療につながる重要な検査です。
虚血性腸炎は、腸に血液が十分に届かなくなることで腸の粘膜が炎症や潰瘍を起こす病気です。大腸に起こることが多く、高齢者や動脈硬化、糖尿病、腎不全、低血圧、便秘症、脱水、経口避妊薬の使用、喫煙歴等のある人に発症しやすいとされています。主な症状は、突然の腹痛、下痢、血便です。症状は軽い場合もありますが、重症化すると腸の壊死や穿孔(腸に穴があく状態)につながることがあります。
診断は、内視鏡検査で腸粘膜の炎症や縦走潰瘍を確認し、CT検査や血液検査で腸の状態や炎症の程度を評価します。病状によってはCT検査優先して、内視鏡検査は後日に行う事も多いです。治療は、症状の程度や腸の状態に応じて行われます。
安静、点滴による水分補給、腸を休める食事療法で回復することがあります。
腸の壊死や穿孔がある場合は手術が必要になることがあります。
虚血性腸炎は、早期に適切な対応を行うことで多くは回復します。まれに狭窄型や壊疽型の様に治療に難渋する事もありますので、腹痛や血便などの症状が出た場合は、早めに受診することが大切です。
クローン病は、口から肛門までの消化管のあらゆる部分に浮腫、びらん、潰瘍といった炎症が起こる慢性炎症性腸疾患です。主に若年者に発症し、小腸末端・大腸に好発します。原因は完全には解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的要因、環境要因が関与すると考えられています。
主な症状は、下痢、血便、腹痛、体重減少、発熱などです。腸管の狭窄や瘻孔(腸と腸、または腸と皮膚がつながる異常な通路)ができることがあるのも特徴です。また、腸管以外の合併症(筋骨格系:脊椎関節炎など、皮膚:結節性紅斑・壊疽性膿皮症など、肝胆道系;原発性硬化性胆管炎など、眼:虹彩炎・ぶどう膜炎など)を併発する事もあります。
診断は、大腸カメラや小腸の内視鏡検査、画像検査(CT・MRI)、血液検査や便検査を組み合わせて行います。組織検査(生検)も診断に用いられます。治療は、各種検査により重症度判定を行い、治療法を選択します。
炎症を抑える薬(5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤など)。
成分栄養剤(商品名エレンタール)消化体栄養剤(商品名ツインライン)が第一選択となり、栄養指導も適宜行われます。
狭窄や瘻孔、合併症がある場合に行われることがあります。
厚労省の指定難病であるクローン病は完治が難しい慢性疾患ですが、生物学的製剤の登場で、病状安定が得られる様になってきました。定期的な検査・通院を行い、専門の医師による管理が重要です。
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