1型糖尿病(インスリン欠乏による糖尿病です)
すい臓がインスリンをほとんど、またはまったく作ることができない為、インスリンを注射しなければなりません。 このため、以前は「インスリン依存型糖尿病」とも呼ばれていました。糖尿病の患者さんのうち、1型糖尿病は10人に1人もいません。若いうちに発症する事が多いのが特徴ですが、年齢に関係なく発症が見られます。 膵臓のβ細胞というインスリンを作る細胞が、ウイルス感染などをきっかけに免疫異常により破壊されて、身体の中のインスリンの量が絶対的に足りなくなって起こります。
2型糖尿病 (インスリン分泌不全とインスリン抵抗性による糖尿病です)
すい臓はインスリンを作り出しますが、量が十分ではない(インスリン分泌不全)か、作られたインスリンが十分作用しません(インスリン抵抗性)。以前は「インスリン非依存型糖尿病」と呼ばれていました。
2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で、10人に9人以上はこのタイプです。若い人でも発症する場合もありますが、40歳を過ぎてから発症する場合がほとんどです。
糖尿病になるかどうかには一部遺伝が関係しており、肥満が原因とは必ずしもいえません。糖尿病にかかったのは、決して本人のせいだけではないのです。
両親からの遺伝で、インスリンがもともと出にくい体質(両親にはっきり糖尿病の方がいなくても糖尿病遺伝子は隠れていることがあります)を持つ条件と、
運動不足や脂肪の過剰な摂取などの生活習慣の結果、インスリンの働きが悪くなる条件が組み合わさって発症る事が多くみられます。
糖尿病神経障害
糖尿病の合併症の中で最も早く出てくるのが糖尿病神経障害です。
中心となる足や手の末梢神経障害の症状の出かたはさまざまで、手足のしびれ、怪我や火傷の痛みに気づかないなどです。
そのほか筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、インポテンツなど、さまざまな自律神経障害の症状も現れることが特徴です。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は目の中の血管が膨れたり、閉塞したり、破れたりするために網膜や硝子体などに異常が出てくる病気です。
糖尿病になってから数年経過して発症するといわれていますが、初期の頃には全く自覚症状がありませんので、糖尿病と診断されたら、定期的に眼科の検査を受ける事が大切です。
気がつかないうちに病気が進行してしまい、ある日突然、眼底に大出血を起こして失明の危機にさらされることもあります。
早い段階で網膜症の発見が分かりますと治療効果も向上します。
まだ見えるから大丈夫という自己判断は危険です。
糖尿病腎症
尿を作る腎臓の、糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんにおしっこが作れなくなります。 すると人工透析といって、機械で血液の不要な成分をろ過して、機械でおしっこを作らなければなりません。
週に2~3回、病院などで透析を受けるようになるので、日常生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。現在、人工透析が必要になる原因の第一位がこの糖尿病腎症です。
しかもこれらの合併症は何の自覚症状もなく、少し血糖値が高い「糖尿病予備軍」と呼ばれる初期段階からひそかに進行します。
そのため糖尿病と診断されたら少しでも早く治療を開始し、食事療法・運動療法を含めた治療を継続することが大切です。
急な体重の減少
とても喉が渇く
このごろ太ってきた
おしっこの回数が増えて、量も多い
だるい、疲れやすい
手足がしびれたり、立ちくらみがする
足がむくむ、重くなる など
2型糖尿病の発病は遺伝性による場合があるため、上にあげた症状のうち、3項目以上あてはまるご家族(父母、兄弟姉妹、子ども)には、糖尿病の検査をおすすめします。
また、適切な食事をとり、適度な運動をして肥満に気をつけていれば、2型糖尿病を防ぐ、あるいは発症を遅らせることができます。
いずれの型の糖尿病にせよ糖尿病の治療に最も大きな役割を果たすのはあなた自身です。
ご自分の糖尿病を管理するために何ができるか、いろいろなところから情報を集めましょう。糖尿病について知識を増やすことは大切なことです。糖尿病のことを知れば知るほど、糖尿病と上手に付き合っていけるからです。