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診療日時

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肝臓病

肝臓病とは何らかの原因により肝臓の組織に変化や障害が起こった状態の事をいいます。
働き者で我慢強い肝臓は、ダメージを受けても働き続けてしまうので、異常が起こっている事に気付きにくいという特徴があります。肝臓病には急性肝炎から慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌まで、多種の病気があり、原因も多岐にわたります。

肝疾患の原因

ウイルス性

肝炎ウイルスに感染する事により炎症が起こる病気です。
現在A型B型C型D型E型等があります。日本人で慢性肝炎はC型が6-7割、B型2割前後を占めています。急性肝炎はA型、B型が多くみられます。

アルコール性

肝臓はアルコールを分解する働きをします。長期間アルコール摂取を続ける事で引き起こされる事が殆どですが、急激に大量飲酒をする事で重篤なアルコール性肝炎を引き起こす事もあります。

薬剤性

服用した薬剤が原因となって起こる肝障害です。薬剤の直接作用で起こる中毒性とアレルギー反応で起こるアレルギー性肝障害に分類されます。

自己免疫性

自分の免疫状態が何らかの原因で異常をきたし、引き起こされる肝障害です。若い女性や更年期女性に多いのが特徴です。

脂肪肝(NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患)

最近注目されており、注意しなければならないのは、NASH (nonalcoholic steatohepatitis:非アルコール性脂肪性肝炎)です。糖尿病、メタボリック症候群との合併が多く、脂肪肝と勘違いされ放置され、進行した状態(肝硬変や肝癌)で見つかる事も少なくありません。健診を受けて頂き専門医の受診が必要です。

その他

遺伝性、代謝性、血管の異常等による稀な肝障害がありますが、以下に、主に多くみられる肝臓病について説明します。

C型慢性肝炎、肝硬変

日本の慢性肝炎の大多数を占めるのがC型慢性肝炎です。C型慢性肝炎とは、C型肝炎ウイルスの持続感染により、6ヵ月以上にわたって肝臓の炎症が続き、細胞が壊れて肝臓の働きが低下していく病気です。初期にはほとんど症状はありませんが、放置しておくと、長い経過のうちに肝硬変や肝がんに進行しやすいことが知られています。C型肝硬変はウイルスによって壊された肝臓の細胞が線維成分に置き換わり、肝臓が硬くなった状態です。肝硬変のうち正常な部分によって肝臓の働きがある程度保たれている状態を代償性肝硬変といい、さらに病気が進み、必要な肝臓の働きが失われた状態を非代償性肝硬変といいます。肝硬変になると肝炎の時よりも肝細胞癌を発症する可能性が高くなる為、慢性肝炎の状態のときに治療を受ける事が望まれます。
C型慢性肝炎の治療は、この数年間で目覚しい進歩を遂げています。今までのインターフェロン治療と異なり、直接型抗ウイルス剤(DAA)の内服薬で、殆どの肝炎患者が治る様になりました。【一部のDAAを使えない患者さんを除いて】
患者さんは一度、専門医を受診して治療について相談して下さい。非常に高価な薬ですが、国の政策として、肝炎に対する医療費助成制度があります。当クリニックは、肝臓専門医が診療をしており、東京都肝臓専門医療機関に指定されています。医療費助成の申請書作成、治療が出来ますので、気軽にご相談下さい。

B型慢性肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus;HBV)の持続感染によって起こる炎症性の肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスは血液や体液を通して感染しますが、感染している状態により、急性肝炎、無症候性(むしょうこうせい)キャリア、慢性肝炎・肝硬変、肝発がん、非活動性キャリア、再活性化などさまざまな病態を示します。B型肝炎は感染した時期や健康状態によって、一過性感染で終わる場合と、6ヵ月以上にわたって感染が持続する持続感染とに分けられます。出生時にB型肝炎ウイルスに感染すると、10歳代後半から20歳代で肝炎(一過性肝炎)を起こします。そのうち85~90%の人では自然に肝炎が鎮静化しますが、残る10~15%の人は慢性肝炎となり、さらに肝硬変へと進む人もいます。また、HBVキャリアの人、特に慢性肝炎から肝硬変へと進んだ人では肝がんを発症するリスクが高まります。 B型急性肝炎は、全身倦怠感、食欲不振、悪心、褐色尿、黄疸などが出現し、一般的には数週間で肝炎は極期を過ぎ、回復過程に入ります。一方、B型慢性肝炎では、自覚症状は殆どありませんが、しばしば「急性増悪」と呼ばれる一過性の強い肝障害を起こすことがあります。この際には急性肝炎と同様の症状が出現します。
治療については、慢性B型肝炎患者の人に持続感染しているHBVは、基本的に完全排除することは出来ません。慢性C型肝炎ではHCVに対するIFN療法や直接作用型抗ウイルス薬で、ウイルスの完全排除が期待できますが、HBVに対してはIFNや核酸アナログ製剤を用いてもウイルスの完全排除は期待できません。これがHBVに対する治療とHCVに対する治療の根本的な違いです。これをふまえてB型慢性肝炎の治療をしなければなりません。HBVに対する有効な抗ウイルス薬は、IFN(注射薬)と核酸アナログ製剤(内服薬)の2剤に大きく分けられます。大まかには、IFNは一般に年齢が35才程度までの若年者で、肝炎の程度の軽い(肝硬変になっていない)人、核酸アナログ製剤は 35才以上の非若年者、35才以下であっても肝炎の進行した人に対して投与を行います。 核酸アナログ製剤は、以前は薬が効かない薬剤耐性株(変異株)が問題になっていましたが、現在は最新の核酸アナログ製剤の投与では、薬剤耐性株の出現頻度は非常に低い事から、比較的安全に核酸アナログ製剤が使用できるようになりました。但し、最新の核酸アナログ製剤を5年、10年と長期間使用した場合の安全性についてはまだ明らかにはなっておらず、今後も注意深く経過観察する必要があります。費用面では、インターフェロン、核酸アナログのどちらも、各自の収入に合わせて公費補助がでる事となりました。当クリニックでは、その申請、治療も可能ですので、安心して受診して下さい。

脂肪性肝炎(NASH)

過剰な栄養摂取、肥満、運動不足などが原因で、肝細胞に脂肪が蓄積して発症する病気です。健診で見つかることの多い脂肪肝の約10~20%が、肝内で慢性的な炎症が持続するとNASHになり、そのうちの10~30%が肝硬変に進展し、肝細胞癌が発生することも明らかにされ、NASHは危険な肝臓病として認識されるようになりました。メタボリック症候群、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群などは、本疾患の主要なリスクファクターである事も踏まえると、生活習慣病の肝臓版とも言えます。自覚症状はない事が多く、健診等で軽微な肝障害を指摘され、脂肪肝と見誤られる事もあるので、念の為、肝臓専門医を受診され、的確な診断、治療を受け事が大切です。治療の基本は、食事療法、運動療法による生活習慣の改善です。そして、背景にある事の多い肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することです。当クリニックでは、患者さんのライフスタイルに合わせて、生活習慣や食生活の改善方法を、患者さんと共に考え、適切にアドバイスしていきます。薬物療法としてはビタミンE、ピオグリタゾンが一定の効果を認めていますが、根治的治療ではありません。

アルコール性肝障害

過剰飲酒(1日平均純エタノール60g/日の飲酒)が、肝障害の原因と考えられる病態で、禁酒により肝障害が改善し、肝炎ウイルスマーカー陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性、抗核抗体陰性を満たすものをいいます。病型としてアルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変の4つがあります。常習的な飲酒が続くとアルコール性脂肪肝となり、その後も飲酒を続けると肝線維症となり、最終的には肝硬変に進展していきます。こうなる前に、禁酒が必要ですが、困った事にアルコール依存症になっている方もみられる為、治療には精神的なアプローチや家族の協力が必要となる事が多く見受けられます。

自己免疫性肝炎(AIH)・原発性胆汁性肝硬変(PBC)

本来は自分の身体を守るはずの免疫異常が原因で発症する病気です。急性肝炎様の症状で発症する事もありますが、健診でAIHはALT値の上昇で、PBCはALP、γGTP値の上昇で発見されることもあります。いずれも中年以降の女性に多くみられる病気です。治療は、AIHが副腎皮質ステロイドホルモン、アザチオプリン、ウルソデオキシコール酸等、PBCがウルソデオキシコール酸、ベザフィブラート等で内服により行われます。的確な診断・治療を行えば予後は良好ですが、専門性が高い病気ですので、この病気が疑われた場合はすぐに肝臓専門医を受診してください。AIH、PBC共に、難病医療費助成制度の対象となっております。当クリニックは、難病指定医(肝臓、消化器病専門医)が診療を行っておりますので、安心して治療が受けられます。

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